美容薬剤師とは?最近はやりの職種を徹底解説!

AIやロボット技術の進化、そして薬剤師の将来に不安を感じたことはありませんか? 医療現場の変化に伴い、薬剤師の職域は進化を遂げています。 その中で、今特に注目を集めているのが「美容薬剤師」という新しい働き方です。 従来の薬剤師業務にとどまらず、美容の専門知識を活かして活躍できる美容薬剤師は、 人々の美容への意識の高まりとともに、需要が急増しています。 この記事では、美容薬剤師の仕事内容から将来性、 そして収入の可能性までを詳しく解説していきます。 あなたが薬剤師として、または将来のキャリアを考える上で、 新たな可能性を見出すきっかけになるかもしれません。

美容薬剤師の仕事内容

「美容薬剤師ってどんなお仕事をするの?」「普通の薬剤師とは違うの?」と疑問に思っている方もいるかもしれませんね。

近年、AIやロボット技術の進歩により、薬剤師の仕事の一部は自動化されつつあります。さらに、オンライン診療やオンライン服薬指導の普及も進んでいます。こうした変化の中、美容薬剤師は、従来の薬剤師の枠にとらわれず、美容の専門知識を活かして活躍できる新しい働き方として注目されています。

従来の薬剤師の業務といえば、病院や薬局における医師の処方箋に基づいた調剤や、患者さんへの服薬指導が中心でした。これは医療現場において非常に重要な役割ですが、医療費の増加や薬剤師の偏在化などの課題も抱えています。

一方、美容薬剤師は、人々の美容への意識の高まりや、セルフケアへの関心の高まりといった社会的なニーズを受けて誕生した職業です。薬剤師としての専門知識を活かしながら、美容に関する幅広い相談に乗り、お客様の健康と美容をサポートします。

では、具体的に美容薬剤師はどのような仕事内容なのか、詳しく見ていきましょう。

美容薬剤師の役割とは?

美容薬剤師の役割は多岐に渡りますが、大きく3つに分類できます。

  1. 美容のプロとして、お客様一人ひとりに合った美容アドバイスを行う
    例えば、ニキビに悩んでいるお客様がいらっしゃるとします。思春期ニキビなのか、大人ニキビなのか、炎症の程度はどうか、生活習慣はどうかなど、様々な要素を考慮する必要があります。美容薬剤師は、お客様のお肌の状態や悩みにじっくりと耳を傾け、適切なスキンケア方法や生活習慣の改善アドバイス、場合によっては医療機関への受診を勧めるなど、一人ひとりに最適な個別対応を行います。
    また、シミやくすみが気になるお客様には、美白化粧品の選び方や紫外線対策、食事療法などをアドバイスします。ビタミンC誘導体やトラネキサム酸など、美白効果が期待できる成分は複数ありますが、それぞれ作用機序や注意点が異なります。美容薬剤師は、お客様の肌質やライフスタイルに合わせた最適な成分選びをサポートします。
  2. 医薬品や化粧品の専門知識を活かして、お客様の安全を守る
    医薬品と化粧品には、相互作用や副作用のリスクがあります。例えば、ある種のニキビ治療薬を使用している方が、ピーリング効果の高い化粧品を併用すると、肌への負担が大きくなり、炎症が悪化してしまう可能性があります。美容薬剤師は、お客様が使用している医薬品やサプリメント、健康食品などを把握した上で、安全に配慮したアドバイスを行います。
  3. お客様の悩みや不安に寄り添い、心身ともに美しくなるサポートをする

 美容に関する悩みは、単に外見のコンプレックスにとどまらず、精神的なストレスや自信の喪失に繋がることもあります。美容薬剤師は、お客様の気持ちに寄り添いながらカウンセリングを行い、信頼関係を築くことを大切にします。そして、お客様が心身ともに健康で美しくなれるよう、適切なアドバイスやサポートを提供します。

具体的な業務内容を紹介

美容薬剤師の活躍の場は、病院や薬局だけでなく、美容クリニックやエステサロン、ドラッグストア、化粧品会社など、さまざまです。それぞれの職場環境によって、具体的な業務内容は異なってきます。

業務内容説明
カウンセリングお客様の肌や体の悩み、体質、生活習慣などをヒアリングし、最適な美容プランを提案します。
化粧品や医薬品の選定お客様の悩みや希望に合わせた化粧品や医薬品を選び、使用方法や効果、注意点などを説明します。
スキンケア指導正しい洗顔方法やスキンケアの方法、化粧品の選び方などをアドバイスします。
美容施術の補助美容クリニックにおいて、医師の指示のもと、美容施術の補助を行います。
商品開発化粧品会社において、薬剤師の視点から、効果や安全性に優れた化粧品の開発に携わります。
情報発信ブログやSNSなどを通じて、美容に関する情報を発信します。

需要が高まっている背景

美容薬剤師の需要が高まっている背景には、美容に対する意識の高まりや、健康志向の高まりなど、さまざまな要因が考えられます。

  • 美容医療の進歩: ヒアルロン酸注入やボツリヌス注射など、手軽に受けられる美容医療が普及したことで、美容に関する専門知識を持つ薬剤師へのニーズが高まっています。美容医療を受ける人が増える一方で、施術のリスクや副作用についての情報提供が不足しているケースも少なくありません。美容薬剤師は、医療従事者としての視点から、お客様に正しい情報提供を行い、安全な美容医療の選択をサポートします。
  • 情報過多: インターネット上には、美容に関する情報が溢れかえっていますが、中には信憑性の低い情報も少なくありません。そのため、正しい知識に基づいたアドバイスを求める人が増えています。美容薬剤師は、薬学の専門知識と豊富な経験に基づいた、信頼性の高い情報提供を行います。
  • セルフメディケーション: 自分自身の健康は自分で管理するという意識が高まり、医薬品や健康食品に対する関心が高まっています。美容薬剤師は、お客様のセルフメディケーションをサポートし、健康で美しい肌づくりを支援します。

従来の薬剤師との違い

従来の薬剤師は、病院や薬局において、医師の処方箋に基づいて薬を調剤したり、患者に服薬指導を行うことが主な業務でした。

一方、美容薬剤師は、美容に関する専門知識を深め、お客様の美容に関する悩みに寄り添いながら、最適なアドバイスやサポートを行います。従来の薬剤師は、どちらかというと「病気の治療」に重点を置いていましたが、美容薬剤師は、「病気の予防」や「健康増進」、「QOL(生活の質)の向上」にも貢献できる点が大きな違いと言えるでしょう。

美容薬剤師になるには?

美容薬剤師は、薬の専門家としての知識を生かして、美容の分野で活躍できる魅力的な仕事です。お客様一人ひとりの肌の悩みに寄り添い、適切なアドバイスやケアを提供することで、お客様の笑顔を引き出すことができます。

しかし、美容薬剤師として活躍するためには、薬剤師免許を取得していることはもちろんのこと、さらに専門的な知識やスキルを身につける必要があります。具体的にはどのような道のりがあるのか、詳しく見ていきましょう。

必要な資格とスキルアップ

美容薬剤師になるために、まず絶対に必要となるのが薬剤師免許です。薬剤師国家試験に合格し、薬剤師免許を取得しなければ、美容薬剤師として働くことはできません。

薬学部は6年制と、医師になるために必要な医学部と同じ期間となります。6年間、みっちり薬に関する知識やスキルを学ぶことになります。薬剤師国家試験は、薬学の専門知識を問う難関試験として知られており、合格率は例年80%前後となっています。

薬剤師免許を取得したら、いよいよ美容に関する知識やスキルを磨いていきましょう。

美容薬剤師として働くためには、幅広い知識が必要です。例えば、皮膚の構造や機能、肌トラブルの原因、化粧品の成分とその効果、美容医療に関する知識など、多岐にわたります。

これらの知識を習得するために、独学で勉強するのも良いですが、より効率的に、体系的に学びたいという方は、美容薬剤師の資格取得を目指すことをおすすめします。

美容薬剤師の資格には、例えば以下のようなものがあります。

  • 日本化粧品検定:化粧品の基礎知識から応用までを体系的に学べる検定です。1級から3級までレベルがあります。
  • 美容薬学検定:美容と薬学の両方の知識を問う検定です。美容薬剤師として働く上で必要な知識を網羅的に学ぶことができます。
  • 日本エステティック協会認定エステティシャン:エステティックに関する知識や技術を習得できる資格です。美容クリニックやエステサロンで働く場合に役立ちます。

これらの資格を取得することで、美容薬剤師としての専門性を高め、就職や転職、独立開業など、将来の選択肢を広げることができます。

美容薬剤師のキャリアパス

美容薬剤師としてのキャリアパスは、実に様々です。

例えば、以下のような働き方があります。

  • 美容クリニック:医師の指導のもと、患者様に美容に関するカウンセリングや施術、医薬品の説明などを行います。美容医療の現場で働きたいという方におすすめです。
  • エステサロン:お客様の肌や体の状態に合わせて、最適な施術や化粧品、サプリメントなどを提案します。お客様と近い距離で接しながら、美容の専門家として活躍したいという方におすすめです。
  • 化粧品会社:化粧品の開発や研究、品質管理、マーケティングなどに携わります。美容に関する専門知識を活かして、商品開発に携わりたいという方におすすめです。
  • ドラッグストア:お客様に化粧品や医薬品、健康食品などのカウンセリング販売を行います。幅広い商品知識を活かして、お客様の健康と美容をサポートしたいという方におすすめです。
  • フリーランス美容薬剤師:企業に属さず、独立して仕事を受注します。美容関連企業のセミナー講師や、美容に関する記事執筆、商品開発コンサルタントなど、活躍の場は多岐に渡ります。自分のペースで、自由に働きたいという方におすすめです。
  • 自宅サロン開業:自宅の一室などを利用して、エステサロンを開業します。お客様一人ひとりとじっくり向き合いながら、自分のペースで働きたいという方におすすめです。

自分の興味やライフスタイルに合わせて、自分に合った働き方を選ぶことができます。

フリーランス薬剤師という働き方

フリーランス薬剤師とは、特定の企業に雇用されずに、個人事業主として働く薬剤師のことです。美容薬剤師として働く場合にも、フリーランスという働き方を選択できます。

フリーランス美容薬剤師の魅力は、なんといっても自分のペースで仕事を選べるという点です。仕事とプライベートのバランスを調整しやすいというメリットがあります。

また、企業に属さないので、高収入を目指せる可能性もあります。実績を積めば、年収1,000万円を超えることも夢ではありません。

一方で、フリーランスは、会社員とは異なり、自分で仕事を探してくる必要があります。顧客を獲得するために、積極的に営業活動を行う必要があるでしょう。

また、健康保険や年金などの社会保障は自分で加入する必要があり、収入が不安定になる可能性もあります。

年収・給与の相場

美容薬剤師の年収や給与は、働き方や経験、スキルによって大きく異なってきます。

フリーランス薬剤師として働く場合は、時給3,000円以上、場合によっては4,000円代も可能です。美容クリニックに勤務する場合の年収は、400万円から600万円程度が一般的です。エステサロンに勤務する場合の年収は、300万円から400万円程度が一般的です。

企業に属さず、個人で事業を行う場合は、さらに高収入を得られる可能性もあります。

しかし、高収入を得るためには、高い専門知識やスキル、豊富な経験、そしてお客様を惹きつける魅力が必要となります。

美容薬剤師が扱う美容と健康

「美容と健康」は、切っても切り離せない関係にあります。ダイエットをすれば肌ツヤが良くなった、しっかり寝たら肌の調子が良かった、など、誰もが経験を通して実感しているのではないでしょうか?

美容薬剤師は、薬の専門家としての知識を活かして、皆さんの美容と健康をサポートします。肌のトラブル、ダイエット、アンチエイジングなど、様々な悩みに対して、適切なアドバイスや情報提供を行います。

美容薬剤師が扱う医薬品・健康食品

皆さんは、「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」の違いをご存知でしょうか?

簡単に説明すると、体の構造や機能に影響を及ぼすものが「医薬品」、その医薬品よりも人体への作用が緩やかなものが「医薬部外品」、そして、体の表面を清潔にしたり、美化したりするものが「化粧品」と分類されます。

例えば、ニキビ治療薬として有名な「ディフェリンゲル」は「医薬品」に分類され、「ロキソニンSテープ」などのように、パッケージに「第○類医薬品」と記載されています。一方、「ニキビを防ぐ」などの効果を謳う化粧水などは「医薬部外品」に分類されます。

美容薬剤師は、これらの医薬品や健康食品、化粧品について、専門的な知識を持っています。例えば、シミ・そばかすが気になる方には、メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ効果が期待できる医薬品として、トラネキサム酸やビタミンC誘導体を含む飲み薬や塗り薬を勧めます。

また、ビタミンCを多く含む健康食品としては、アセロラやレモンなどの柑橘系の果物、ピーマンやブロッコリーなどの緑黄色野菜などを勧めます。さらに**、食事だけでなく、サプリメントも効果的に活用することで、より効率的にビタミンCを摂取することができます**。

ニキビに悩む方には、抗炎症作用や殺菌作用のある医薬品として、過酸化ベンゾイルやアダパレンなどを含む塗り薬を勧めます。さらに、肌のバリア機能を高める効果が期待できる健康食品として、ビタミンB群や亜鉛などを含む食材を勧めるなど、症状や悩みに合わせて、最適なものを提案します。

医薬品・健康食品効果・効能
美白剤メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐトラネキサム酸、ビタミンC誘導体
ニキビ治療薬炎症を抑え、ニキビの発生を防ぐアダパレン、イソトレチノイン、過酸化ベンゾイル
育毛剤頭皮環境を整え、発毛を促進するミノキシジル、フィナステリド
サプリメント不足しがちな栄養素を補給するビタミンC、コラーゲン、プラセンタ

美容薬剤師ならではの視点で、医薬品や健康食品を安全かつ効果的に使用する方法をアドバイスします。

美容皮膚科学に基づいたスキンケア

「最近、肌の調子が悪い…」「この化粧品、本当に私に合っているのかな?」など、肌の悩みは尽きないものです。

美容薬剤師は、美容皮膚科学に基づいたスキンケアの知識も豊富です。肌の構造や機能、肌トラブルの原因などを理解し、一人ひとりの肌質や悩みに合わせたスキンケア方法をアドバイスします。

例えば、乾燥肌の方には、セラミドやヒアルロン酸など、保湿成分を多く含む化粧品を勧めます。**セラミドやヒアルロン酸は、肌の水分保持能力を高める効果があり、乾燥肌対策の基礎となります**。

また、敏感肌の方には、刺激の少ない低刺激性の化粧品を勧めます。**敏感肌の方は、香料や着色料などの添加物が含まれている化粧品を使用すると、肌トラブルを起こしやすいため注意が必要です**。

このように、美容薬剤師は、肌に負担をかけずに、健康的な肌を保つためのサポートをします。

相談できる内容・事例

美容薬剤師は、以下のような内容の相談に対応しています。

  • 肌の悩み: シミ、しわ、たるみ、ニキビ、乾燥肌、敏感肌、アトピー性皮膚炎など
  • 髪の悩み: 薄毛、抜け毛、白髪、くせ毛など
  • ダイエット: 健康的なダイエット方法、食事指導、サプリメントの選び方など
  • アンチエイジング: 健康的な老化予防、生活習慣病予防など
  • 美容に関する情報: 化粧品の選び方、美容医療の情報など
相談内容相談事例
肌の悩み「シミが薄くなる化粧品が知りたい」「ニキビ跡を治したい」「敏感肌でも使える化粧水を探している」
髪の悩み「最近抜け毛が気になる」「白髪が増えてきた」「くせ毛を改善したい」
ダイエット「健康的に痩せるにはどうすればいい?」「リバウンドしないダイエット方法を知りたい」

最新の美容医療情報

美容医療は、近年、めざましい進歩を遂げています。シミ、しわ、たるみなど、加齢に伴う肌の悩みを改善する治療法や、医療脱毛、痩身治療など、様々な治療法が登場しています。

美容薬剤師は、常に最新の美容医療情報にもアンテナを張っています。美容医療を受ける際には、メリットだけでなく、リスクや副作用についても理解しておくことが大切です。美容薬剤師は、中立的な立場で、正確で最新の情報を提供することで、患者さんが納得して美容医療を選択できるようサポートします。

美容薬剤師は、従来の医療業界から2兆円市場の美容・ヘルスケア市場へ薬剤師の専門性を活かして活躍の場を広げていく、薬剤師の新しい働き方です。令和の薬剤師市場の変化では、2045年には最大12.6万人が過剰?!薬剤師”余り”衝撃の未来図やAIやロボット技術の発展で仕事がなくなる?!、インフラの改革で薬局がなくなる?!などの変化の波が押し寄せています。

まとめ

美容薬剤師は、薬剤師の専門知識を活かし、美容に関する幅広い相談に対応する新しい職種です。

従来の薬剤師業務に加え、美容のプロとして、お客様の肌や悩みに合わせた美容アドバイスや化粧品・医薬品の選定、スキンケア指導などを行います。

美容医療の進歩やセルフメディケーションの広がりを背景に需要が高まっており、美容クリニック、エステサロン、化粧品会社など活躍の場は多岐に渡ります。