管理薬剤師とは?仕事内容から年収まで解説!

「薬剤師って、お薬を渡すだけじゃないの?」そう思っていませんか? 実は、薬局や病院で働く薬剤師 のリーダー的存在である「管理薬剤師」は、医薬品の安全管理から、他の薬剤師の指導、病院や薬局の運営まで、幅広い業務を担う重要な役割を担っています。 厚生労働省の調査によると、管理薬剤師の平均年収は約734万円と、一般の薬剤師よりも高収入を得られる傾向にあります。 この記事では、管理薬剤師の仕事内容から、責任ややりがい、さらにはキャリアアップまで詳しく解説していきます。 将来はリーダーシップを発揮して活躍したいと考えている薬剤師の方は、ぜひ参考にしてみてください。

管理薬剤師の仕事内容とは?責任ややりがいを解説

「お薬手帳の管理って、薬剤師さんの仕事の中でも大切なことのひとつなのかな?」「薬剤師さんって、お薬のことなら何でも知ってるの?」と、疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。

確かに、薬剤師は患者さんから見れば「お薬の専門家」というイメージが強いかもしれません。しかし、薬剤師の仕事は、ただお薬を渡すだけではありません。患者さんが安心してお薬を服用し、健康な生活を送れるように、様々な業務を担っています。

その中でも、管理薬剤師は、薬局や病院で働く薬剤師 everyone のリーダーのような存在です。多くの薬剤師の中から、経験や知識、そして責任感の強さが認められた薬剤師が、管理薬剤師として活躍しています。

管理薬剤師の主な役割5つ

管理薬剤師の主な役割は、大きく5つに分けられます。

  1. お薬の管理:
    • 医薬品は、人の命や健康に直接関わるものです。そのため、その品質や安全性を確保することは、薬剤師にとって最も重要な責務の一つです。管理薬剤師は、薬局や病院で扱う医薬品が適切に保管されているか、期限切れのお薬がないかなどをチェックし、患者さんに常に安全な医薬品が提供できるよう、万全の体制を整えます。
    • また、薬局や病院で使うお薬の量を管理し、足りない薬がないように発注することも、管理薬剤師の重要な仕事です。必要な医薬品を適切な量だけ在庫することで、患者さんをお待たせすることなく、また、医薬品の無駄をなくすことにもつながります。
    • さらに、医療の世界は日々進歩しており、新しいお薬も次々と開発されています。管理薬剤師は、常に最新の医薬品情報を入手し、その効果や副作用、飲み合わせなどをチェックすることで、薬剤師や患者さんに正確な情報を提供します。
  2. 薬剤師の教育・指導:
    • 管理薬剤師は、他の薬剤師が正しく仕事ができるようにサポートし、指導する立場でもあります。新人の薬剤師には、薬剤師としての心構えから、患者さんへの接し方、服薬指導の仕方まで、丁寧に指導します。
    • また、経験豊富な薬剤師に対しても、新しいお薬の情報や、法律の変更などを共有し、常に知識をアップデートする機会を提供します。薬剤師一人ひとりが、常に最新の知識とスキルを身につけることができるよう、研修計画の作成や実施なども行います。
    • チーム全体で、患者さんに質の高い薬物療法を提供できるよう、管理薬剤師はリーダーシップを発揮します。
  3. 患者さんへの情報提供:
    • 管理薬剤師は、患者さんが安心して薬を飲めるように、お薬の効果や副作用、飲み合わせなどについて、わかりやすく説明します。
    • 患者さんの中には、お薬について多くの不安や疑問を抱えている方もいます。管理薬剤師は、そのような不安や疑問に丁寧に耳を傾け、患者さん一人ひとりの体質や生活習慣に合わせた、適切な服薬指導を行います。
    • 例えば、高齢の患者さんに対しては、薬の飲み忘れを防ぐために、一包化を提案したり、お薬カレンダーの作成をサポートします。また、副作用が心配な患者さんには、副作用が出た時の対処法を具体的に説明したり、他の薬剤師と協力して、患者さんの不安を取り除くように努めます。
  4. 病院や薬局の運営:
    • 管理薬剤師は、病院や薬局の運営にも深く関わっています。薬剤師の勤務体制を管理したり、薬局の経営に関わることもあります。
    • 病院では、医師や看護師など、他の医療従事者と協力し、より良い医療を提供できるよう努めます。例えば、医師が処方した薬について、患者さんの体質や他の薬との飲み合わせなどを考慮し、より適切な薬剤を提案することがあります。
    • また、薬局では、患者さんがより利用しやすいように、待ち時間の短縮や、プライバシーに配慮した相談スペースの設置など、環境づくりにも積極的に取り組みます。
  5. 法律の遵守:
    • お薬は、人の命に関わる大切なものです。そのため、法律で定められたルールを正しく守る必要があります。
    • 管理薬剤師は、薬局や病院全体が、これらのルールを守って運営されているかを常にチェックします。例えば、医薬品の保管状況や、処方箋の管理方法が適切かどうかなどを定期的に確認します。
    • また、法律や倫理に関する研修を定期的に実施し、スタッフ全体の意識向上を図ります。

薬局と病院における業務の違い

薬局と病院では、管理薬剤師の仕事内容も少しずつ違います。薬局では、患者さんと接する機会が多く、服薬指導を中心とした業務が中心となります。一方、病院では、入院患者さんの薬の管理や、医師へのアドバイスなど、より専門的な知識が求められる業務が多くなります。

業務内容薬局病院
主な仕事患者さんに直接お薬を渡し、服薬指導を行う入院している患者さんのお薬の管理や、医師へのアドバイス
患者さんとの距離より近いある程度距離がある
扱う薬の種類一般的な薬が多い専門的な薬が多い
仕事のスピード比較的ゆっくり比較的忙しい
チーム医療薬局のスタッフと連携医師や看護師など、多くの医療従事者と連携

管理薬剤師の1日の仕事の流れ

例えば、町の薬局で働く管理薬剤師の場合、1日の仕事の流れはこんな感じです。

午前

  • 薬局の開店準備:
    • 清掃や、パソコンの起動などを行い、患者さんを気持ちよく迎えられるようにします。
  • お薬の在庫確認:
    • 前日に発注したお薬が届いているかを確認し、棚にきちんとしまいます。
    • 不足しているお薬があれば、すぐに発注します。
  • 処方箋の受付・調剤:
    • 患者さんから処方箋を受け取り、お薬の内容を確認します。
    • 他の薬剤師と協力し、正確にお薬を調剤します。
  • 服薬指導:
    • 患者さんに、お薬の名前や効果、飲み方、副作用などを丁寧に説明します。
    • 患者さんの疑問や不安に寄り添い、安心して薬を飲めるようにサポートします。

午後

  • 在宅訪問服薬指導:
    • 薬局を出て、自宅で療養している患者さんを訪問し、お薬の管理状況などを確認します。
    • 患者さんの生活環境に合わせた服薬指導を行い、薬の効果を最大限に引き出せるようにサポートします。
  • 薬剤師の指導・教育:
    • 新しいお薬の情報や、法律の変更点などを他の薬剤師に共有します。
    • 患者さんへのより良い服薬指導の方法などについて、意見交換を行います。
  • 明日の準備:
    • 当日の業務内容を振り返り、明日の業務に役立てます。
    • 薬局の売上や、患者さんの数を記録し、今後の運営に活かします。

このように、管理薬剤師は、薬剤師としての専門知識を生かしながら、患者さんや他の薬剤師を支える、重要な役割を担っています。

管理薬剤師になるには?年収やキャリアアップについて

町の薬局でお薬をもらう時、病院で入院中に薬の説明を受ける時など、薬剤師の方とやり取りをする機会は少なくありません。患者さんにとって身近な存在である薬剤師ですが、その中でも「管理薬剤師」は、薬局や病院で働く薬剤師 everyone のリーダーのような存在です。

管理薬剤師は、医薬品を安全に使用できるよう管理したり、他の薬剤師を指導したり、病院や薬局の運営にも関わるなど、幅広い業務を担います。責任や業務量は増えますが、その分、やりがいも大きく、高い専門性と豊富な経験を持つ薬剤師として、社会に貢献できる仕事と言えるでしょう。

管理薬剤師になるための条件

薬剤師としてさらに上のステップを目指したいと考えている方は、管理薬剤師という選択肢があります。管理薬剤師になるためには、特別な国家資格は必要ありません。薬剤師免許を取得していれば、誰でも目指すことができます。

しかし、薬局で管理薬剤師になるためには、一般的には5年以上の実務経験が必要です。さらに、薬剤師認定制度認証機構から認証を受けた研修を修了し、認定薬剤師の資格を取得していることも条件となります。

この研修では、医薬品の品質管理や安全管理、薬局の経営管理、薬剤師の倫理など、管理薬剤師に必要な知識やスキルを習得します。研修内容は多岐にわたり、例えば、医薬品の品質管理においては、温度や湿度管理、有効期限切れの医薬品の取り扱いなどを学びます。また、薬局の経営管理では、収支管理や人事管理、労務管理など、経営者としての視点を養います。

一方、病院で管理薬剤師になるための条件は、施設によって異なります。多くの場合、薬剤師としての実務経験に加えて、薬剤部内でのリーダーシップやマネジメント能力などが評価されると、管理薬剤師に昇格するケースが多いようです。

病院における管理薬剤師は、薬剤部長や薬局長といった役職に就くことが多く、医薬品の在庫管理や品質管理、他の薬剤師への指導・教育、医師への医薬品情報提供など、多岐にわたる業務を統括します。

管理薬剤師の平均年収は?

管理薬剤師の平均年収は、厚生労働省の調査によると約734万円です。これは、一般の薬剤師の平均年収と比べて約250万円も高い金額となっています。管理薬剤師は、責任や業務量が多い分、給与面でも優遇されていると言えるでしょう。

もちろん、勤務先や経験年数、役職などによって年収は異なります。大都市圏や大規模な病院、ドラッグストアチェーンなどで働く場合は、より高収入を得られる可能性があります。

例えば、都市部では、薬剤師の需要が高く、競争も激しいため、給与水準も高くなる傾向があります。また、大規模な病院やドラッグストアチェーンでは、従業員数や患者数も多く、管理薬剤師の業務範囲も広いため、高い給与が設定されていることが多いです。

管理薬剤師のキャリアパス例

管理薬剤師としてのキャリアパスは、大きく分けて2つあります。

1つ目は、病院や薬局といった現場で経験を積み、さらに上の管理職を目指すというものです。例えば、薬局であれば、店長やエリアマネージャー、病院であれば、薬剤部長や病院長といったポジションを目指せます。

店長やエリアマネージャーは、複数の店舗を統括する立場となり、売上管理や人材育成、顧客満足度向上など、経営的な視点が求められます。一方、薬剤部長や病院長は、組織全体を統括する立場となり、高いリーダーシップやマネジメント能力、組織運営能力が求められます。

2つ目は、専門性を活かして、医薬品メーカーや卸売業者、CRO(医薬品開発業務受託機関)などに転職するという道です。医薬品情報担当者(MR)や、医薬品開発の専門家、品質管理の責任者など、活躍の場は多岐にわたります。

医薬品メーカーでは、新薬の開発や既存薬の改良などに携わることができ、専門知識を活かして、医療現場に貢献することができます。卸売業者では、医薬品の流通を管理する仕事に携わることができ、幅広い医薬品に関する知識や、物流に関する知識を身につけることができます。CROでは、新薬の開発をサポートする仕事に携わることができ、臨床試験の計画や実施、データの解析など、専門性の高い業務に携わることができます。

このように、管理薬剤師は、経験やスキル次第で様々なキャリアを築いていくことができる、やりがいのある仕事と言えるでしょう。

管理薬剤師の転職を成功させるには?求人情報の見方や注意点

管理薬剤師として転職を考えているあなたへ。転職活動は、人生における大きな転換期です。より良い条件の職場を求めて、転職を考える薬剤師の方もいるのではないでしょうか。希望の条件を満たすためには、求人情報の見方や注意点を押さえておくことが大切です。

私は医師として日々、多くの薬剤師の方々と連携しながら患者さんの治療にあたっています。病院内の薬剤部には、薬の専門家である薬剤師が数多く在籍していますが、その中でも管理薬剤師は、リーダーシップを発揮し、チームをまとめながら、患者さんに安全かつ効果的に薬が使用されるよう、日々努力しています。

フリーランス薬剤師という選択肢

近年、働き方の多様化に伴い、フリーランス薬剤師という働き方を選択肢に入れる方も増えています。フリーランス薬剤師の魅力は、なんといってもその自由度の高さです。自分のライフスタイルに合わせて、仕事量や勤務時間などを調整することができます。

例えば、結婚や出産などのライフイベントを迎えても、自分のペースで仕事を続けたいという方にとって、フリーランスは魅力的な選択肢となりえます。

その他にも、複数の医療機関で経験を積みたい、自分の専門分野を活かしたい、という薬剤師にとっても、フリーランスという働き方は魅力的です。

しかし、フリーランス薬剤師として働くためには、自分で仕事を探し、契約交渉や報酬の管理など、すべてを自分で行う必要があります。そのため、収入が安定しない、社会的な信用を得にくいといったデメリットも存在します。

転職活動で失敗しないためのポイント

転職活動で失敗しないためには、事前の準備が重要です。

まず、自分のキャリアプランを明確にしましょう。「どんな仕事で」「どんなスキルを身につけて」「将来はどうなりたいのか」、具体的な目標を設定することで、転職活動の方向性が定まります。

自分のキャリアプランを立てる際には、自分自身の強みや弱み、そして、本当にやりたいことを把握することが重要です。

「私は、患者さんとのコミュニケーションを大切にし、地域医療に貢献したいと考えている。そのためには、在宅医療に力を入れている薬局で、患者さんと密接に関わることができる仕事がしたい。」

このように、具体的な目標や希望する働き方を明確にすることで、転職活動がよりスムーズに進みます。

そして、自分の市場価値を把握することも重要です。自分の経験やスキルが、どの程度の需要があるのかを客観的に分析することで、希望する条件の求人を探すことができます。

転職活動は、自分自身を見つめ直す良い機会でもあります。焦らず、じっくりと時間をかけて、自分に最適な職場を見つけましょう。

管理薬剤師の求人情報の見方

管理薬剤師の求人情報を見るときは、「どんな薬局なのか」をよく見極めることが大切です。

例えば、求人情報に「地域密着型の薬局」と書いてあれば、地域住民の健康を支えることにやりがいを感じられるでしょう。「在宅医療に力を入れている薬局」と書いてあれば、患者さんの自宅に訪問して、より密接な医療を提供したいという方に向いています。

薬局の理念やビジョンに共感できるかどうかは、長く働き続ける上で重要な要素です。求人情報だけでなく、薬局のホームページなどもチェックして、自分に合った薬局かどうかを見極めましょう。

調剤薬局やドラッグストアなど、様々な場所で管理薬剤師は求められていますが、病院で働く管理薬剤師の求人情報を見るときは、特に「病院の理念や方針」をチェックすると良いでしょう。

例えば、「患者中心の医療」を掲げている病院であれば、薬剤師も、患者さんとのコミュニケーションを大切にし、チーム医療の一員として主体的に行動することが求められます。

転職エージェントの活用方法

転職エージェントは、あなたの転職活動を無料でサポートしてくれる心強い味方です。転職エージェントでは、キャリアカウンセリングを通じて、あなたの希望や条件に合った求人を紹介してくれます。

また、履歴書の書き方や面接対策など、転職活動に関する様々なアドバイスを受けることもできます。転職エージェントを上手に活用することで、転職活動をスムーズに進めることができます。

転職活動は、人生における大きな転換期です。転職エージェントは、あなたの転職を成功に導くための心強いパートナーとなってくれるでしょう。

まとめ

管理薬剤師は、薬局や病院で働く薬剤師のリーダー的存在です。医薬品の管理や薬剤師の指導、病院や薬局の運営など、幅広い業務を行います。管理薬剤師になるには、薬剤師免許取得後、数年以上の実務経験と、必要な研修の修了が必要です。平均年収は約734万円と、一般の薬剤師よりも高収入が見込めます。転職活動では、求人情報から、薬局の理念やビジョン、病院の方針などを確認することが大切です。